本物のヘナとはインド伝統のヘナ石臼挽き!
今、蘇る伝統のヘナ石臼挽き
2009年12月13日
粉末化装置では、どうしてもヘナは高温にさらされる……装置から出てきた直後のヘナの粉はホッカホッカ……
粉末化装置(上写真)では、どうしてもヘナは高温にさらされる……装置から出てきた直後のヘナの粉はホッカホッカだ。しかも、ものすごいヘナ埃を立ち上げながらの粉末化。あたり一面はあっという間にヘナ埃が積もっている。いったい、そこまで木目細かく粉末化する必要があるのか?と、毎年、ヘナ粉末化の装置の前で、素朴な疑問を感じていた。だから、あんまりモーターを早くしないで、ヘナの葉をたくさん押し込まないように、ゆっくり粉末化してと、お願いするのが精一杯のところだった………。
高速粉末化装置が入る前、今から30年前は、石臼でヘナを挽いていた
いまからおおよそ30年前、それはヘナが世界的に知られるようになる以前の話し……。当時はインド国内に出荷するために、ヘナの工場は石臼を回していた。時、1980年、インドには高速粉末化装置というマシンが続々とお目見えしていた。強いモーターで鉄のハンマーを回転させ小麦はもちろん、いろいろなものをいとも簡単に粉末化していく。そうした高速粉末化装置がヘナの粉末化にも導入され、以降、大量供給が可能になり、時、同じくして、ヘナが世界的に知られるようになっていった。高速粉末化装置一基で、一日1トン~以上の処理が可能なのに対し、旧来の石臼挽きでは、一基あたり一日100キロ~程度の粉末化しかできない。その差は、バイクと自転車くらいの違い、というか、インドの牛車とトラックといった違いか……。高速粉末化装置のおかげで、大量供給が可能となった……つまり、ヘナを世界に流通させた影の立役者はこの装置だといえる。
これが石臼挽き……でも、一日たった30キロしか挽けない!
「一度、石臼でヘナを挽いてみて欲しい」と現地の工場の友人に聞いたところ、「えっ……いまはどこもやってないからなーーー。ただし、昔はどこにでもあったから、どこかの納屋とかに放置されているはず……それを探してみる」そういうことで、探してもらったが、なかなか見つからない。いくつもあたったが、まともな状態で残っているヘナの石臼が見当たらないまま、まはは現地ソジャットを後にした。
これが石臼の内部面
しばらくすると、現地から、とりあえず、小さい石臼屋をやっているオヤジさんが、石臼を貸してくれるということで、ヘナを試しに挽いてみることになった。上の写真がその様子。 帽子とマスクをしているのが現地のヘナ工場の若い工場長。まはは彼にいつも「掃除掃除!清潔に!!」と叱咤しているものだから、石臼挽きも帽子とマスク、手袋着用をしている。彼が向かっているのは、とても小さな石臼。
装置の下には容器が置いてあって、そこに粉末化されたヘナの粉が落ちてくる。
試しに丸一日挽いていたが、一日の作業の結果はたったの30キロ。小さい石臼だから、仕方ないところ。モーターが石臼の臼をゆっくりと、ゴロゴロと音を立てながら回し、ヘナの葉を中心から落としてやると、少しづつ粉末化される、といった、昔ながらの方法。もちろん、粉末が出てくるときの温度は人肌程度でしかない。しかし、たったの30キロでは、採算どころではない。インド、安いとはいえ、最近のインドはインフレが進んでおり、物価もあがり人件費も高くなってきている。この石臼挽きでは、少なくてもインド国内ではまるきり採算が取れないとはっきり言われてしまった。
鮮やかな緑の粉末、それが石臼挽きの特徴。だから、鮮度も抜群だし色素も破壊されにくい。
高速化粉末装置で挽いた場合、鮮やかな緑色の粉末にはならない。理由は簡単。高速で粉末化する際、ヘナが高温にさらされるためだ。粉末化の際に、一瞬だがヘナが焼け、一定度、粉末は茶色味を帯び、右の写真、石臼挽きのヘナのような鮮やかな緑色になることはない。
石臼挽きヘナ、使用感は格別。
ヘナが高温にさらされず、焼けないことで、ヘナの葉の持つオリジナルな色が粉末になっても保たれるわけだが、ヘナが高速粉末化装置の中で焼けないことで、ヘナのもつ鮮度、生命の部分も保たれるいるだけでなく、色素も高く、また、実際に使用してみたが、その使用感は格別によい。これはもはや石臼ヘナしかないと、改めて認識させられた。
石臼挽きヘナのペーストは意外とよく粘り、洗い流しの切れがよい。
上の写真、石臼挽きの粉末の外観の写真を観察すると、ヘナの葉の葉脈部分、繊維の部分が粉末になりきらず、筋状に見受けることができる。これをメッシュで取り除こうとするが、実は、石臼挽きはそもそもが粒子が粗いためメッシュを細かくできないため、葉の内部にある葉脈部分、繊維質を完全にはメッシュでは取り除くことはできない。もちろん、水に溶かすと粘性のあるペーストになり、多少の繊維があっても、実際の使用にはなんら問題を感じなかった。驚くべきは、ヘナの粒子が粗いにもかかわらず、意外によく粘ること。石臼挽きで粒子が粗くても、ちょっと待てば、ねばねばとしたヘナのペーストに仕上がるために、塗ることにまったく問題はなかった。それだけでなく、石臼挽きのペーストは、粒子がある程度、大きくふやけているといった状態で、粘性がありながら、洗い流すときにはするっと落ちてしまうという、切れがよいのが石臼挽きヘナの大きな特徴といえるでしょう。
アートビーングが購入した伝統のヘナの石臼
石臼挽きヘナがあまりに素晴らしかったため、日本の皆さんにお届けするためには、30年前まで現役として伝統的に使用されてきた大きめのサイズの石臼が必要になった。一日30キロの処理能力ではお話にならないからだ。伝統の石臼は先にテスト粉末に借りた石臼と比べてサイズ的にはかなり大きく、また、石自体が特殊で、かなり硬質な石を使用しているのだという。状態がよい石臼を探すようにヘナの産地ソジャットの友人に頼んでいたところ、1ヶ月ほどして、たまたま、とてもよい状態のヘナ石臼が見つかったと連絡がきた。二つ返事で、購入をお願いした。もちろん、支払いはアートビーングで、アートビーング石臼一号機の誕生ということになる。これ一台で、一日100kg~程度の粉末化が可能。
石臼は相当重く、人の力では簡単には持ち上げたりすることができないため、重機を使用して移動。 左の写真には、円盤形の石が2枚ある。上と下の石二枚がセットで石臼になる。これから、 設置のためのプラットフォーム(置き台)の建設と、実際の設置、石臼を回転させるモーターの設置、などなどで、3週間の工期だという。石臼の購入費用、設置費用、すべてアートビーングが負担。
石臼の予備にもう1セットある。石臼はメンテナンスが必要で、定期的に石の目立てをする必要があるためだ。
現在(2009年12月13日)、石臼の設置のための設備を建設中で、石臼自体の設置が年内に完了する予定で、年明けにも、現地にて、テスト粉末化を行い、第二弾の石臼挽きの粉末化を行い、皆さんにお届けできるように計画しています。もちろん、その際、粉末化するためのヘナの葉は現地にて保管されています。現時点では、前回、テスト粉末化した石臼挽きヘナが日本に限定入荷しています。その鮮度、その染まり、ぜひ一度、皆さんにも試していただけたらと思います。
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