インディゴ(木藍/ナンバンアイ)の実験栽培
昨年、2006年のこと、南インドはタミルナドゥー州にインディゴ農園を訪れた。その際、農園主にお願いして、大変に貴重な、一握りのインディゴの種を分けていただいた。農園を訪問中、それはインディゴシーズンの終盤で、ちょうどそのころ、シーディング(種ができる)の時期にあたり、農園主は、「インディゴの栽培でもっとも重要なのは種、種なんです」と何度も言っていた。その貴重な種を、一握りいただいてきたわけなんです。
ハーブ大学構内、インディゴ実験農園で栽培中のインディゴ畑で
ハーブ大学構内の実験農地にインディゴを植えてみたところ・・
インド中央部、マハラシュトラ州とマディアプラデッシュ州の州境、インドの商業の中心ともいえるムンバイ(旧称ボンベイ)から、深夜バスに揺られて8時間のところに、全寮制のハーブ大学(現在は、インスティチュート オブ ハーバル サイエンスで、これは訳すと、ハーブ学研究所、あるいは、薬草学研究所ということになるのかな・・・)が建設中で、まはも、たまに、セミナーに呼ばれて講演している。何を話しているかというと、インドの美容関係、アーユルヴェーダ関係のドクターたちに、ヘナについて講義をしている!わけなんです。いつも冗談で言うんですが、これって、まるで日本人に禅を教えるようなもんだなーーとね。いるでしょ、青い目の禅僧・・彼等から、禅や座禅について習うようなものかもしれないと、ヘナ本場のインドで、女性たちに、ヘナやインディゴ、ヘアケア全般についてお話をさせてもらっています。
今回の実験栽培の目的は、2つあります。 まず、第一に、良質なインディゴを栽培するためには、どのような条件が重要なのか、それを調査します。大学での利点は、各種の成分分析機器が整備されていますので、収穫したインディゴの成分分析などをガスクロマトグラフにかけたり、各種の分析を行うことで、より客観的に研究を進めることができる、と、そういった点です。第二に、たった一握りの種ですので、一握りの種を何十倍にも増やして、たくさん植えることができるようにする、種の収穫が目的です。
写真、右上…… ハーブ大学の土地が気に入ったのか、南インドから持ち帰ったインディゴの種は、順調に発芽。ある程度の大きさになって畝に移植するが、移植後も、とても元気に育っている。どうやらインディゴはこの土地を気に入ったようだ。
2実験農園育ちのインディゴは大変に良好な品質
昨年10月は、インディゴの種をポット植え、発芽し、順調に成長したため、畝に移植、4ヶ月で1メートル強までの高さに成長したところで、地上部分だけを刈り取り、速乾させ、茎を取り除き、葉部分だけを選別し、粉末化した。その粉末でテスター白髪束を染色してみたところ、驚くべきほどに濃く染まった。通常のインディゴでは、多少の藍色がかったインディゴブルーに染色されたが、実験栽培のインディゴは、濃厚な藍色に見事に染まってくれた。このインディゴでヘナの後、後染め、重ね染をすると、見事に真っ黒に染まると容易に想像できる。
実験農園から収穫され出来上がったたった5キロのインディゴ粉末のうち、500gを日本の美容室、コットンクラブさんにテスト用として送ったところ、大変によく染まると好評だった。
インディゴ(木藍)の栽培周期は、ヘナとは違い、かなり短い。3~4ヶ月で収穫が可能だ。現在、次ぎの種を収穫し、一定量の種が採れたら、大学の裏面に膨大な畑があり、そこには、インド各地から収拾された薬草、薬木、各種の植物が栽培されている。その畑の一部を利用してインディゴの商業的な実験栽培をする予定で、高品質のものが栽培された場合は、日本のアートビーングが買いつけることになっている。大学は基金が必要で、その基金とするために、インディゴの栽培研究を行いながら、それを実際の収益ともしていくこと、これが大学の助けともなる。現在、日本への輸出が現実のものとなるかどうか、大学のスタッフらと一緒に、インディゴの成育を見守っている段階です。
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