アーユルヴェーダ・アビヤンガとスベダナ(発汗法)
まは:まはの友人、サトヴィック・アーユルヴェーダスクールの佐藤さんが、まははパソコンばかりしているだろうから、アーユルヴェーダのトリートメントをしたいと、突然、機材一式で、遊びにきてくれた。そこで、初めて、本格的な和風アーユルヴェーダを目撃。あまりに感動したので、皆さんにも少しお伝えすることにした。
アビヤンガで使用されるオイルは、無数あるオイルの中から、選択。
まは: アーユルヴェーダでは、オイルがとても重要な意味を持つ。その人の体質や状態によって、どのオイルを使うかが、これが、ある意味、秘伝。 この日、サトヴィックの佐藤さんが、まはに選んだオイルは、アタルバ・イェシティマドゥーオイル。このオイルには、ピッタバータを下げる作用があるという。 特に夏場には、ピッタがあがり、ヴァータが乱れるために、疲れが出てきている場合などは、滋養性が高いイェシティマドゥーオイルがいいという。
ピッタと熱
佐藤さん解説: まはさんは、「夏にはピッタがあがり、ヴァータが乱れる」と理解したようですが、ピッタ=熱ではありません。実は、夏にあがるのは、熱であって、ピッタではありません。 ピッタには流動性や生臭さなど、他の性質も備わっているのだけれど、夏は熱があがる、それによって、汗が出て乾燥した体に発生するヴァータの冷性と相殺してしまう。だから、熱につられて他のピッタの性質はあまりあがらないと言われています。だから、ピッタではなくて、熱があがると言います。それと、ヴァータが乱れるという言い方なんですが、アーユルヴェーダの用語では、ヴァータはあがるけれども悪化(爆発的に増えて、発酵した時のようになって、あるべきドーシャの座からあふれだすこと)にはならず、ヴァータが蓄積する、に留まるっていうのが、正確ないい方なんです。乱れるというのは、蓄積と悪化の両方をふくんでしまう用語なんです、厳密に言うとね。 だけど、こんなことはじめての人達にいってもわかんないから、ピッタとヴァータって言っちゃうんだけど、より正確にわかりやすく言うと、「夏は熱が強いので、乾燥によってヴァータが蓄積していく時期。このまま放っておいて、台風の多い秋の長雨(ヴァータシーズン)にはいったら大変。」ということになると思います。
イェシティマドゥー/甘草/リコリス
甘草には、甘味があり、この甘味には滋養性があるため、これをオイルとして使用すると内側から潤いがもたらされる。アタルバのイェシティマドゥーオイルは、西インドに特徴的なシングルオイルで、ゴマ油に一つのハーブ、イェシティマドゥーからだけで出来ているオイル。早い話、日本でも、甘草があり、実はゴマ油と甘草があれば簡単に出来てしまうはずなのだが、実際は、シングルオイルは難しく、よく効くシングルオイルを製造できるかどうかは、ひとえに原材料の質にかかっているのだという。このアタルバ・イェシティマドゥーオイルは、なにしろ、ゴマ油自体が独自に無農薬栽培したものを使い、ハーブ自体も良質なものだけを厳選している。シングルオイルであるにしても、そうでないにしても、アタルヴァの良さは材料を育てるところから、たとえば、肥料になる牛糞も、オーガニックで育てた牛のものを使ったりする、このこだわりがかなり違うということが言えると思う。
佐藤さん解説: イエシティマドゥの薬効については、重性、油性、甘味によりヴァータドーシャを鎮静し、甘味、冷薬力によりピッタドーシャを鎮静する。熱感除去、鎮痛、抗炎症、鎮吐、口渇抑制、声向上、利尿、目の滋養などの作用が一般的にいわれていますが、特にマハさんには、目を強くするという効果とね、ちょっと電話だと恥ずかしいから言えなかったんだけどね、強精作用があります。爆
アビヤンガ手始めの頭皮マッサージは定番のジャタマンシオイルで
写真はニコヤカに頭皮マッサージをする佐藤さん。終始、ニコニコ。なぜなんだろうと思い、それとなく聞いてみて納得。彼女はいま幸せなのだ…なぜ幸せか、それは彼女が今やりたいこと、とても好きなことをやっているからだった。そう、彼女はアーユルヴェーダが好きで好きでたまらない。アーユルヴェーダとの運命的な出会い、この話しを聞いたら、すごいなーーと感動した。彼女はアーユルヴェーダのために生まれてきたような人なんだなーーと、彼女は日本人としてアーユルヴェーダをする運命にある人なんだなと感心する。
写真で頭皮マッサージをしてもらっているのはサミーラさん。頭皮オイルには、定番のジャタマンシオイル。実際に使っているのはアタルバのジャタマンシオイル。理由は、ジャタマンシには深いリラックスを誘う性質があり、また、白髪予防、育毛の作用があるとされ、頭皮オイルとして最適であり、また、定番にもなっている。特に現代人特有のストレスによる不眠症などには、このジャタマンシオイルで定期的に頭皮マッサージを行う。ところが、現在入手不可能のため、アタルバ・ヘッドマッサージオイルRなどで代用してください。
アビヤンガでは、頭皮マッサージは座ったまま行う。続いてマッサージ台の上に横たわり、フェイシャルマッサージを行う。今回、佐藤さんがフェイシャルオイルに使ったのは、数あるオイルの中で、クシーラバラタイラというアーユルヴェーダオイル。もちろん、アタルバ・イェシティマドゥオイルも使える。頭皮マッサージには定番と呼べるオイル、ジャタマンシオイルがあるが、フェイシャルマッサージ以下、使うオイルは無数にあり、そのなかから、毎回、適宜、選択していくところが奥が深いところ。
アタルバ・ニームオイル
佐藤さんがやってきたとき、たくさんのオイルをもってきた。あらかじめ、想定したオイルをもってきたそうだ。まはさんにはこれ、サミーラさんにはこれじゃないかしらと持ってきたそうだが、彼女は、ふっともってきたオイルが正しくないような感じがして、今日はサミーラさんにニームオイルによるアビヤンガを施すことになった。
スポットで(局部的に)使うことが多いニームオイル
普通、ニームオイルは局部的に使うことが多いという。特に傷や痒みがある箇所、そのスポットに塗る用途に使用される。ところで先日、まはの友人が、手をざっくりときってしまい、そのとき、ふとニームオイルを使ったところ、傷口の治りがいつもよりとても早くて驚いたと、そんなお便りをいただきました。
皮膚の痒み、アトピーなどにもアタルバ・ニームオイルが使用可能
アーユルヴェーダのコスメティックには、特にお肌に使用される配合の製品には、ほぼ間違いなくニームが使用されているという。ニームには、保湿作用、お肌によい作用があるからだという。その作用としては、クーリング作用、冷やす作用があるため、お肌の炎症には有効だという。特にアタルバ・ニームオイルは、通常の玉ねぎの強い匂いのするニームオイルはニームの種からオイルを抽出しているが、アタルバオイルはニームの葉からニームの成分を抽出し、ゴマ油と一緒に製造するアーユルヴェーダ製法のため、とても軽やかな匂いと使用感である。
アビヤンガの後はスベダナ……アーユルヴェーダの発汗法
なぜ、アビヤンガ(オイルマッサージ)の後に、スベダナで発汗させるのか?これは、たとえで言うと、アビヤンガが体を洗浄する洗剤のようなものだとすると、スベダナで発汗させることはそれを手でこすって洗い落とすようなものだという。二つがセットで初めて効果が出る。発汗することで、アビヤンガがいきてくるということ。
上の写真は、まはがスベダナをしている様子。上下をビニールの袋に包まれ、足のほうから、ダシャムラを煮詰めた蒸気を袋の中に送り込んでいる。圧力鍋の蒸気噴出し口にホースをつけ、圧力をぐつぐつ煮ることで蒸気がホースの先から出てくる。そのホースの先をビニールに入れることで、まはが収まっている袋の中は、ダシャムラの蒸気が満ちる。ダシャとは、10で、ムラとは根で、ダシャムラとは10の根の薬草をあわせたもの。佐藤さんは、これに、日本のよもぎを足して、スベダナに利用している。スベダナはたぶん、30分以上~程度。蒸気のあったかい露と、自分の皮膚からにじみ出てくる汗が皮膚の上で混ざり合う。 佐藤さんが、時折、皮膚に触れてくる。彼女が言うには、蒸気の水分と、汗の水分を、軽く皮膚に触れることで見極め、一定量の汗が出てきたところでスベダナが終了になるという。軽く皮膚に触れるだけで、汗と蒸気がどれだけかわかるのか?と聞くと、わかるのだいう………。
ダシャムラのこと
佐藤さん解説: ダシャムラはね、ダシャが10でムーラが根なのは当たりなんだけど、ムーラというサンスクリット語の意味は、草木の根っこを指す以外にも、根本的なという意味があって、この場合は「根本的に重要な10の薬草の組み合わせ処方」という意味で使われているんですよ。私も最初は10の根っこって教わっていたんだけれど、実際に使う部所を見てみたら、葉っぱや樹皮も使うの。で、おかしいなあと思って調べてみたら、それがわかった、という次第。
アビヤンガ+スベダナの後は、トリファラかひまし油
通常、アビヤンガ+スベダナの後は、胃腸から解毒が起こるという。だから、トリファラか、ひまし油を摂取して、便通を促進させる。だから、アビヤンガの日は、夜寝る前に、トリファラなどを摂取するのがよいのだという。まははトリファラを摂取した。もちろん、翌朝は快便だった。
佐藤さん解説: 「通常、アビヤンガ+スベダナの後は、胃腸から解毒が起こるという」も、ちょっと間違った理解です。まず部位的に胃腸から解毒するわけじゃなくて、「全身から、集められた悪いドーシャが胃腸管に集められる」という感じ。「毒素を集める」と言ってしまうと、「毒素=アーマを集める」と、誤解されやすいのですが、でも、アーマというのは、そのままでは絶対に体の外には出てこないの。出てきた時にはドーシャに変換されてしか取り出すことが出来ない。だから、誤解を防ぐためにもも、やはりここは、わけわからん感じでも、ドーシャと言っておいた方がいいかも。わかりやすくするには、ドーシャ(病素)と訳をつけてもいいと思います。
IT技術者によくある頚椎の出っ張りの発見……これには、ニルグンディオイルが必須
佐藤さんによると、まはには、頚椎のでっぱりがあり、これは、IT技術者によくある症状で、このまま放置すると、首、肩、腕、手などの痺れがはじまるという。これは、モニターなどをずっと見つめている場合に、頚椎が異常を起こし、でっぱるのだという。それが極端になり、もはや西洋医学では手術しかない、と言われたバンガロールのITワーカーがアーユルヴェーダの治療を受けて、3週間で6割方改善して退院していったのを目撃したという。
軽度の場合は、ニルグンディオイルなどで頚椎、首、肩、腕をマッサージし、発汗させるといいというアドバイスをもらった。専門的には、スベダナを行い、十分な発汗をさせるのがベストだが、簡易的には、オイルマッサージ後、ダシャムラの煮出し液に浸した蒸しタオルなどを首に当てることで、発汗を促進させるといいという。
ニルグンディオイル
インドのアーユルヴェーダドクターによると、 ニルグンディは、骨や筋肉、特に関節の痛みに効く薬草です。関節炎は高齢者の問題と思われてきましたが、最近ではライフスタイルの変化によって、若い人達の病気にもなりつつあります。ニルグンディオイルは、関節の痛み。特に、変形性関節炎、リューマチ性関節炎の強張り。筋肉の痙攣、ひきつり(痙攣痛)、震せん、激しい背部痛、腰痛、全身の痛み、坐骨神経痛、脊髄炎、骨棘形成(踵骨骨棘)。 また、関節、筋肉、、靭帯、腱などを強くするのに役立つ ということを教えていただいた。
使い方: 20~25mlのオイルをボウルにいれて温める。
下から上方向へやさしくマッサージする.(アーユルヴェーダでは普通はオイルマッサージは毛の流れる方向に行うが、この場合はあえて下から上へ塗り込み、それから上下に手を動かして塗り込むようにする)
関節には、時計回りに円を描くように塗る。
オイルを塗ったところは、必ず発汗させる。部分発汗であれば、湯たんぽやホットタオルが簡単。全身の場合は薬草の蒸気を浴びるか、温かい風呂に入る。
最後に、乾いたタオルで拭き取り、きれいにする。
注:お風呂に入る前に塗って、しばらく放置し、熱いシャワーを浴びるのでも充分発汗できます。最初からお風呂場でオイルをぬれば簡単です。
腰痛や坐骨神経痛には腰部に、両手で真ん中から外へ広げるように塗ります。
ご高齢者の場合には、足だけオイルを塗ってバケツのお湯で足浴するだけでも効果があります。また、オイルを塗ることで、よいコミュニケーションにもなり、ヴァータも下がるので、徘徊など、痴ほう症状の改善にも効果があります。しかし、滑って転んでは危ないので、充分に注意して下さい。
まはも、頚椎、首の痛みがあるため、ニルグンディオイルで早速マッサージを始めた。 マッサージ後、本格的なスベダナをするのは、一人では難しいため、蒸気の簡易的なやり方………オイルを塗ったところは、必ず発汗させる。部分発汗であれば、湯たんぽやホットタオルが簡単。全身の場合は薬草の蒸気を浴びるか、温かい風呂に入る。か、お風呂に入る前に塗って、しばらく放置し、熱いシャワーを浴びるのでも充分発汗できます。ということで、この二つの方法で、早速、毎日、自分でトリートメントすることにした。
アビヤンガとスベダナなど、本格的なアーユルヴェーダを日本で体験してみたい方へ
ここまで紹介したら、まはの友人から「いいなーー」と、「私も体験してみたい!」と、聞かれました。実は、サミーラさんには、アビヤンガとスベダナがかなり効いたよで、数日、のんびりしているようです。で、実際に体験してみたい方は、アーユルヴェーダサトヴィックの佐藤さん(E-mail:info@satvik.jp すべて全角ですので半角になおして入力してください。)に直接、相談されるのがいいでしょう。佐藤さんは、ハタイクリニックなどでのアーユルヴェーダイベントや、さまざまな企画にも参加していて、ハタイクリックでは公式にアーユルヴェーダのトリートメントを皆さんに提供しています。
アーユルヴェーダは、時として、とても手間と材料がかかる場合があります。高価なオイルや材料がどんどんと投入される。だから、本格的なアーユルヴェーダは、ある意味、贅沢でもあり高級でもありますが、それだけの価値があるでしょう。一度、アーユルヴェーダのトリートメントを受けると、それがどんなことをするのか、そして、自分にはどんな治療や、自分でどんなことができるのかが、もっとわかってきます。興味がある方は、まずは、とりあえず、一度、体験されることをおすすめします。
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