ヘナだけで白髪染め

染色の世界から染毛の世界へ……ヘナだけで赤銅色(ボルドーっぽい紅茶色)に染める

赤銅色、ボルドー色

Tさんからのお便り: 染色の世界では、一旦染まった物を変異させる、酸化させて色を変えることもあって、例えば紅花の紅色なんですが、紅花って白地を何度も、何度も繰り返し紅花の染料に浸していくのですが、何処まで行ってもそれだけでは、黄色に染まるんです。それを最後、媒染剤として烏梅っていう梅の燻製で作った液で赤く化学変化させるわけで、それが梅のクエン酸効果みたいですね。染色の場合の烏梅(クエン酸)はあくまで、染料の染色液に混ぜるのではなく、一旦、紅花の染料の液で染めた布を、媒染液に浸して色を変化させるっていうのがポイントらしいです。染色の場合つかう染料によっても、繊維の種類(たんぱく質の動物性の繊維か植物性の繊維か)等によっても色止めの方法や、化学変化による媒染方法も違うようです。

ボルドー色の染まり

ヘナだけの白髪染め……赤銅系の染まり例。やり方を工夫すれば、末端になればなるほど(ヘナの回数が重なれば重なるほど)、ボルドー系に見えるように染まっていく。

染色の世界のコツ、工夫を、染毛の世界にも活用できる?

まは: 染色の世界は奥が深いですよねーーー、染める素材と、染める対象によって、染め方や色止めが違う!こういった染色のことも理解しながら、ヘアケアにおいても工夫をすると、もっと楽しく美しく白髪染めができちゃうかもと思いました。

Tさん: 思うに人の髪の毛ってたんぱく質組成の動物性のものとして、羊毛や絹を染める時のことが、ある程度は参考になるのかもしれないなぁと思う事があります。

まは: いや、その通りと思います。特に、人間の白髪と、羊毛は近しいものがあると思います。

まは: ヘナをより濃く暗めに発色させたり、色落ちを防ぐ方法が、意外に簡単と実現できちゃうかもしれない。実際に、染色ではたんぱく質への染色は酢止で色落ちを防ぐように、同じことがヘナの酢止めでも確認できました。下の写真の右側、Bで酢止めしたところ、Aの酢止めしないものよりヘナ落ちが少ないことが確認できた。

ヘナの酢止めは有効、ヘナ落ちを防ぐ

まは: さらにはインディゴの色落ちは多くの皆さんが困っていますが、これ、可能性として塩できっちりと止めたら止まるのかもしれない………と思って実験をしてみましたが、現時点では、たんぱく質への、インディゴ塩止めの明確な効果は確認できていません。塩止めは木綿のような素材にのみ有効なのかもしれません。

インディゴ塩止め

インディゴの発色促進にシカカイが効果ありか?

シカカイ

まは: ただ、インディゴの塩止めが有効そうではないとしても、 工夫次第では、いろいろとまだまだやれることがあるかもしれないと思います。たとえば、インディゴの後染めの後、シカカイ(写真右)などでリンスすると、どうも発色がより濃くなる、藍色が紺色に濃く発色してくるような結果が、前回の実験ででています。ヘナやインディゴの後、何かをしたら、さらに色が濃くなる、あるいは薄くなるということ、この組合せでいろいろと実験したほうがいいかなと思います。

シカカイの参考記事
髪をしなやかに、櫛の通りをよくするハーブ・シカカイ礼賛!これが本当の無添加ハーブシャンプー
酢止めシカカイ

まは: 上の実験では、洗浄をそれぞれ3回行いました。同じようにインディゴ染めした3本の白髪束を用意し、それをそれぞれ、Aはシカカイで、Bは石けんで、Cは真水で洗浄しました。洗浄としては、それぞれの溶液に数時間浸け置いて、洗い流し自然乾燥させ、さらにまた、それぞれの溶液に数時間、浸けおいて、洗い流し自然乾燥させる、これを3回行った後の色落ちの様子を観察したところ、意外にも、シカカイで洗浄したものが逆に発色がよくなっているということがわかりました。アルカリの石けんで洗ったものは、顕著に色落ちがあり、染色の藍染めで言われているとおり、アルカリ性の石けん類で洗うと色落ちすることがヘアケアのインディゴについても言えることがわかったわけです。

まは: シカカイについてですが、一見、上の実験と相反する結果がでているのもあります。

参考記事
インディゴは混ぜ物に弱いのか?インディゴ+シカカイで染毛力ダウン

まは: これはシカカイの使い方のタイミングの問題で、インディゴ染めをしている最中や、その直後、インディゴが十分に発色して定着するまでの間(通常インディゴ染めした後、丸1日以内)にシカカイを使用すると、インディゴは色落ちしやすくなる。ところが、インディゴが十分に発色し、色が定着した段階で、シカカイを使用すると、今度は逆にインディゴの発色を助けると、そんなことになるのかもしれないという、実に奥が深そうな話しになってしまうのです。

玉露を入れる温度で溶かしオイルを足し5時間放置、洗い流して酢スプレーで色止めで赤銅色へ落ち着いた染まり

ボルドー色の染まり

Tさんの場合は、この上の写真の赤銅色の部分よりも、もうすこし暗めに紅茶系に染まっていると思われます。

Tさん: 私自身は相変わらずヘナだけで、紅茶練でやってます。今使ってるのは、2008年度産2009年度販売ので、1ヶ月に1度の使用なので、髪の根元に塗るので、40グラム程度を紅茶を沸かして多分60度程度(お茶で低温で玉露入れる温度くらい)で、練って少しオイルを垂らして今の時期だと何かしながらとか、寝ながら5時間程度放置してちょっと酢をスプレーして流して、もう一度リンスに酢を使って終わらせています。それで、赤銅色(ボルドーっぽい紅茶色)に染まって全体の1/3はある白髪を染めても落ち着いた色目におさまっています。かなり暗めに落ち着いた感じに染めていますね!

玉露を入れる温度で溶かし、オイルも足し、5時間放置。。一応、かなり通なやり方で、その後、酢スプレーして洗い流し、再度、念入りに、酢で色止めで赤銅色………結構、綺麗に染めている。

まは: なるほど~ぉ。どちらかというとセオリー通りのやり方。つまりインドで昔から言われている注意点を抑えたやり方+伝統の染色の方法ですよね。まず、インドでは昔から、ヘナは熱湯で溶かないとされ、その理由は色素が破壊されるからということなんです。ここでいう色素とは、恐らく暗めに染める色素だと思います。熱湯を注いでしまうと、ヘナ染めの後、色が落ち着きにくいのではないかなーーと考えています。また、インドではヘナ前にはオイルで必ず頭皮マッサージをして、髪と頭皮に油を含ませた状態でヘナをします。これは、Tさんがおやりのように、色味を暗めに落ち着かせる作用でもあったのかなーーとも考えています。

これがまは愛用の鉄鍋

まは: これがまは愛用の鉄鍋・・・ヘナ用ボールは油を塗ったりしないため、放置しておくと錆びつく・・・まはも最初、これでいいのかいな?って思っていたけども、この錆びがよいんだと・・・はじめてしった。ただ、ヘナを練る前にこの錆びは軽く洗ってから使ってます。 ヘナと鉄鍋について

まは: ヘナ白髪染めで、赤銅色染まりを少しでも暗めに落ち着かせたい場合は、玉露程度の温度でヘナを溶かしたり、少々のオイルを使い、酢で止めるといったことが、細かい点ですが、それらを積み重ねることで色味が暗めに落ち着いていっているんだろうと考えられます。 さらにインドでは、ヘナを鉄鍋で練って寝かす、ということをします。これも、ヘナの染まりで、定着をよくし、少しでも暗めにするための方法だと思います。

参考記事
実験・ヘナを鉄鍋で寝かすと、白髪が濃く染まる?

まは: 鉄鍋のことも含め、このお便りもヒントに、さらに実験を行いたいと考えています。今回は貴重な情報ありがとう!



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