ヘナの安全性

衝撃のヘナ産地レポート「お安いヘナの作り方」タダ同然の偽装ヘナ!

2009年、ヘナの産地ソジャットは干ばつに見舞われ、ヘナの収量が激減、産地でのヘナ取引価格が記録的な高値に……。だが、インド国内でのヘナ市販価格が値上げになることはない。なんで?と現地で聞いたところ、実はいろいろと工夫があるのだという。ヘナの価格を安くするための工夫……まはも真っ青!「これは素人には見分けがつかない!!」衝撃の「お安いヘナの作り方」レポート!

ケズリの粉でヘナを水増しする

ケズリ
ヘナ

ケズリの粉は、一見、ヘナ粉よりヘナ粉らしく見えてしまう。それほどに緑緑した美しい粉。。水に溶かせばプリプリして、ヘナのようだが、ただし、ケズリには色素が全く含有されていない。また、ケズリの葉は需要がないため、ヘナに混ぜるためのものとして、ほとんどタダに近い価格で取引されている。正しくは、ヘナの価格と比較したら、ほとんどタダのようにも思えてしまう価格で取引されている。一応、ケズリは人体に害がないものと思われるが、ヘアケアには何の薬効もなく、ただ安いという理由で、ヘナのコストを下げるために、最近、よく使用されるようになったという。

緑色の天然着色料ともいえるケズリは少し混ぜるとヘナが緑美しい

ケズリの長所は、葉が緑緑していること。ケズリを多少、ヘナに混ぜることで、人工着色料のようにヘナの粉を鮮度が高い緑に見せかけることもできるため、粉の色を薬品を使用することなく緑っぽく見せかけたいときにも、鮮やかな緑のケズリの粉は大変に役に立つ。10~20%混ぜ込むだけで、粉の色を鮮度がよい緑に見せることができるだけでなく、コストを10%~20%削減できてしまう。ただし、多く混ぜすぎると、ヘナの染毛作用が衰えるので、ピクラミン酸ナトリウムなどのヘアダイ成分を微量、添加する必要が出てくる。

ケズリは自然物のため、検査では検出できない

ケズリの問題点は、自然物のため、検査ではその混入を検出することが不可能である点。ただし、大きな害もないため、大きな問題にもならない、検査でも足がつかないため、恐らくインド国内の「ナチュラルヘナ」と呼ばれている製品には多少なりとも配合されていると考えている。

2010年1月のソジャットは寒かった……最低気温5度。真夏は最高気温49度にもなるから、その温度差は44度だ。

今年は、石臼挽きヘナの試運転のために、いつもは決して来ることがない2010年1月、ヘナのオフシーズンに、ヘナの産地ソジャット入りした。この時期はヘナの産地はとても涼しい。時として、涼しさを超えて寒いくらいだ。最低気温で夜間5度を切ることがある。日本の標準からしたら大したことないと言うかもしれないが、最高気温が6月~7月には49度になることを考えると、その温度差は44度。現地の人には、体感的にはかなり寒いと感じられるのではないかと思う。

ヘナの産地には、今年はもう大した量のヘナが残っていない。残っていたとしても、べらぼうに高い。カッシア(ヘナによく混ぜる)も値段があがってしまったので、今年は、みな、ケズリを混ぜているという……安いヘナはこうして作ると現地の人が教えてくれた。

ヘナにケズリを混ぜていると、そんな話しを聞いていたが、今回、ソジャットのヘナ工場を訪れたときに、ケズリを見せてくれといったら、工場の経営者が、こういう混ぜ物の話は、実は、ソジャットの秘密なんだと言う。こういうことはソジャット以外の人間には話しちゃいかんと、お前は部外者にいろいろとしゃべりすぎると、同業者から言われているが、私たちはこうした混ぜ物は長い目でソジャットのためによくないと考えているという。だから、はっきりさせることははっきりさせたほうがいいだろうと……。

そういう前置きしながら、その工場のS氏は、どこからか、ケズリの葉とケズリの粉をもらってきてくれた。聞けば、すぐ隣の工場でケズリを粉末化していて、それをもらってきたという。ヘナの葉がなくなりかかり、価格が問題外に高くなってしまったために、ソジャットでは、今はケズリの粉末化の最盛期……ヘナよりケズリのほうが売れているのだという……世界的にその名を知られるヘナの産地ラジャスタンはソジャットの、洒落にならないお話。

ケズリ
ヘナ

ケズリ粉は見た目がヘナ粉そっくり……水に溶かすとプリプリしてヘナに似ている

現在、ヘナの産地では、あちこちの工場でケズリが粉末化されている。たぶん、あまりにもヘナが高いため、ヘナに混ぜてコストを少しでも下げるために使われている。ケズリは、ヘナと比較した場合、ほとんどタダみたいな価格。見た目もヘナそっくりだし、ヘナのようにプリプリとした手触りがあるが、ヘナのように色素が含有されていない。このケズリを、ヘナの粉に20%~30%混ぜることで、20%~30%のコストカットが可能になるが、色素が含有されていないケズリを多く混ぜすぎると、染毛力が落ち始めるので、混ぜすぎには注意が必要だ。ただし、最近は、ヘナの価格の高騰で、ヘナを作るのにヘナを少ししか使わないこともあるという……。

極端な話し、ヘナを作るのにヘナはいらない。。。ケズリとピクラミン酸ナトリウム(赤茶に髪を染める)と緑砂があればいい。ヘナの30分の1のコストでヘナができる……正直、ただみたなヘナの出来上がりである。

ピクラミン酸ナトリウム

S氏が近所の工場からもらってきてくれたモノ

実は、3~4年前から、ヘナの産地ではピクラミン酸ナトリウムという強力な染料を微量に添加するのがブームなのだという。ピクラミン酸ナトリウムは赤茶系の色合いで、まさに極上のヘナで染めたような風合いに染まる。実のところ、ヘナよりもヘナらしく染まるため、年々大胆になり、いまでは、ヘナを作るのに、ヘナがいらなくなっているほどだという。正直、ケズリにごく微量のピクラミン酸を混ぜるだけでよく染まるヘナの出来上がりなのだという。ほとんどタダみたいなヘナだから、格安の価格でヘナとして出荷しているという、すごい話し。折りしも、ヘナが不作で価格が暴騰しているから、ピクラミン酸ナトリウム添加のケズリヘナが、ヘナの産地からかなり出荷されているらしい……。

ダイアモンドグリーン

以前はPPD(ジアミン)の添加が主流だったが、あまりにも知られるようになったため、さすがにPPDは使わなくなったという。ヘナの粉を緑に見せるダイアモンドグリーン(写真)もよく使われるが、最近は、ダイアモンドグリーンより、コストが安く、ヘナの粉に重みが出せる緑砂がよく使われるという。

緑砂

ダイアモンドグリーンという着色料には重みがないし、添加に手間がかかるが、緑砂(写真)は価格がケズリよりも安く、もともと木目細かい砂でヘナを粉末化するときに、20%混ぜ込んで、20%のコストカットをするのに主に使われているという。 10トンのヘナのうち、おおよそ2トンは緑砂だそうだ。緑砂は砂を何らかの薬品(薬品については調査中)で緑に着色したもので、ヘナの粉末を緑々しく見せ、さらに砂で重いため、重みを出す=重みの分、コストがカットされるために、最近、急速に、現地で使われ始めるようになったという。さらに、緑砂以外にも石灰岩の粉末のようなものもよく使われるという。いずれにしても、この手の混ぜ物、ピクラミン酸も緑砂もこの数年に本格的に現地で使用されるようになったらしい。

インドでは、人々は必ずしも安全を求めてヘナをしているわけではない。昔から使ってきたから使っているわけで、だから安全性にはシビアではなく、早い話、よく染まるヘナに多少薬品が使用されていてもあまり気にしないのではないか?

ケズリは、ヘナの比較して、体積が大きく、重みが出にくいため、緑砂を足して重みをつけることも多いという。緑砂は、どの道、緑色だから、見た目はどうみてもヘナのような粉末に仕上がってくれるし、溶かしたら、ケズリがプリッとしてヘナのようだし、髪に塗ればピクラミン酸ナトリウムも添加しているのて、白髪が赤茶に染まる。こうして激安のヘナが出来上がる。もちろん、これはインド国内市場向け。インド国内仕様と国際市場向けの仕様とでは、まるきり違うと思ったほうがいいでしょう。インド国内はとにかく安く、どこまで安くできるかの工夫が必要になってしまっているようだ。理由は簡単。人々は必ずしも安全を求めてヘナをしているわけではなく、昔から使ってきたから使っているだけなのだから……。特にインド女性は、手足にヘナで模様を描く、このメンディアートに対する需要が大きく、必ずしも安全性は高く要求されていない。というより、多少薬品が使用されていても、しっかりと濃く染まるヘナが求められていると、まはは見ている。

現地調達の材料で「お安いヘナの作り方」レシピでヘナを作ってみたところ…衝撃!お安いヘナは、ヘナよりもヘナらしく染まる!これでは素人には判別がつかない!。

お安いヘナの作り方

今回の実験では、上の写真にも記載しているが、ヘナ100%とお安いヘナレシピで作ったヘナを比較した。お安いヘナには、ヘナ30%、ケズリ50%、緑砂19.5%、ピクラミン酸ナトリウムを0.5%配合したが、どうも、ピクラミン酸ナトリウムは、0.2%~0.3%程度でもよいのじゃないかと思えるほど、染毛力が強い。早い話、ピクラミン酸ナトリウムは染まりすぎるのだ。上の写真Bがお安いヘナで染めた結果だが、染まりがとても濃い。まさしくヘナで染めたような赤オレンジ色で、ナチュラルヘナ100%を顔負けさせるほどのよい発色。これではなーーー、製造者はピクラミン酸ナトリウムを添加する誘惑に負けてしまうなと思った。ピクラミン酸ナトリウムはわずかに添加するだけでも威力を発揮してくれるし、クライアントも「よく染まるヘナ」と大喜びしてくれる。しかも、しこたまケズリを混ぜればコストカットで安い安い……。そして究極はこれヘナなしヘナ!

これヘナなしヘナ!

先の実験で、どうも、ピクラミン酸ナトリウムは0.5%配合でも多すぎるようだったので、今回、ヘナなしのヘナを作る際には、0.2%配合にしてみた。 要するに、ケズリを99.8%に、0.2%のピクラミン酸ナトリウム……ヘナはなし。。。。水で溶かすと、プリプリする。。。まるでヘナのような感じである。もちろん、ヘナ100%と比較したら粘り気がないが、単体でケズリを水に溶かしていると、プリプリするので、なんとなくヘナのような気になる。だから、ヘナだと思えてしまう。。。。しかし、結果は驚き……。たった0.2%のピクラミン酸ナトリウムでも、ヘナ100%より全然濃く染めてしまう。これならば、恐らく、極々微量、0.1%程度でも十分だろう。AとBをブラインドテストして、どちらがいいかと、アンケートをとったら、多くの人がBがよく染まったとしてBを選ぶだろう。こうやって、私たちは担がれてきたわけだ。ただし、中には敏感な人がいてアレルギー反応を起こす人が出てバレてしまうケースもあるかもしれないが……。しかし、いずれにしても、恐るべしピクラミン酸ナトリウム。そのヘナに似た染毛力は賞賛に値するが薬品は薬品である。

こうしてインド市場からは本物のヘナが消えつつある。気がついたら、みんなしてヘナという名の薬品でヘナしている……洒落にもならない冗談だ。

今、インドは、急速な勢いで発展している。ところが、まはの友人が、最近、ミルクがなんだか質が悪いのだという。いや、それは、まはも同じように感じていて、市販のミルクを使用すると、胃がむかつく、具合が悪くなってしまう。それで、高いお金を出して、遠方からオーガニックミルクを取寄せるようになった。ちなみに、インドでミルク、牛の乳は、日本人にとってのミルクとはまるきり違う。インドではミルクは日本人にとってのミソ醤油と同様でなくてはならないもの。この必須品に、今、異変が起きている。

まはの友人が言うには、「市販のミルクはミルクに白い粉(何かの薬品らしい)から作る液体を溶かしこんで、安くで作っているらしい……こうした、ミルク製造の際に添加される薬品類が問題なのだ」という。「お店で買っているミルクに、本当のミルクがどれだけ使われているかわからんよ」と悲観的な声で言っている。やれやれと、ここでも同じことかと、、、安い安いで喜んでいいものもあるが……工業製品、車とかパソコンとか、液晶テレビとかね、安くなったら嬉しいものもあるが、口にするもの、体に使用するものは、逆に安かったら怖いと思ったほうがいいもののあるんだろうと思った次第。しかし実際には、人々はついつい安いほうを選びがちだ。インドではミルクもヘナも本物だとどうしても高くなってしまう。だから、最初は価格を抑えるために自然由来の混ぜ物や薬品などで工夫をする……じょじょに薬品のほうが増えていって、やがてはお安いだけの危険な製品しか手に入らなくなってしまうのかもしれない。

偽物は時としてあまりに精巧で、ぱっと見、素人には見わけがつかない。インド市販のミルクも外見ではまるきり見分けがつかない。でも、毎日使っていくうちに、なんだかなと、胃がむかつくなと……ただ、そうしてずっと使い続けるうちにわからなくなってしまうのかもしれない。ヘナにしても、ピクラミン酸ナトリウムは劇薬で、体にいいわけがないのだが、微量だけ配合されている場合は素人にはさっぱり区別がつかない。むしろ、上の写真でいうとBの製品のほうがよいヘナのように思えてしまうだろう。ただ、それは思えているだけで、実際は混ぜ物だらけのヘナをよいヘナだと思い込んでいるだけだ。まぁ、日本市場にはこうした製品が入ることはないとは思うが、たまにインド国内製品が日本でも売られていた利するのを見ると、ちょっと気持ちが重くなってしまう。だから、まはは、ここで、こうして皆さんにも念のために注意を促しておくことにした。

まはは、ヘナは本物であってほしいと思うし、混ぜ物を容認しない。ヘナを愛するものとして、混ぜ物は、とても耐えられない仕打ちであると思っている。しかしだ、ヘナの本場、インドでは、なんという状態になってしまったのかと、重たい気持ちなってしまった。それだけ消費者は価格に敏感なんだろうとは思う。ちょうど、インドのある有名な大学の研究会が、まはにヘナについて講演をしてくれと言って来た。薬学部の教授や生徒が、ヘナやハーブについて、いろいろな人を集めてインドの薬草などについての話しを聞くのだという。ちょうどいいと、こういった話をたっぷりと聞かせてあげようと思っている。


ヘナの安全性

インドではヘナに対する安全意識は高いとはいえません。昔から使っていたから使っている、、よく染まるほうがいいので、多少の薬品が入っていても、特に気にすることはしない。。。ヘナに期待しているものが特に安全性ではないのです。

ヘナ遊